
埼玉県八潮市道路陥没事故に伴う周辺住民の洗濯環境調査を、2/7(金)にメンバー2名で現地へ向かい行いました。
1. 下水道の影響範囲
下水道の排水自体には大きな問題はなく、住民の多くは通常どおり排水を行っており、生活に大きな支障は見られませんでした。しかし、一部の住民は排水量を減らすことで協力しようとし、洗濯の回数を減らす動きが見られました。
また、コンビニエンスストアのトイレや理髪店、飲食店(ラーメン店など)も通常どおり排水を行っており、現時点では特段の制限はかかっていません。
水の供給についても特に問題はなく、給水車の配備などの特別な対応は取られていません。
2. 洗濯の実態
住民の多くは通常どおり洗濯を行っていますが、一部の住民は事故現場で未発見のトラック運転手さんの捜索に影響を与えないよう、排水を減らすことに協力していました。
そのため、親族宅で洗濯をしたり、コインランドリーを利用するケースもある模様です。
街を回った時に、外に洗濯物が干されていない状況に、少し不自然な印象を受けました。
同日、DSATのDMに住民の方から寄せられた
・洗濯は2日か3日に1回のみしています。毎日やっている人はやっているし、気にする人は本当に徹底的に守っている印象。
・洗濯しても、人の目があるので外に干すのをためらい、部屋干ししている人もいる。
・正解が分からずモヤモヤしている。
と、いうメッセージは、現地で受けた印象そのままという感じです。
心理的な影響を感じている人が少なからずいることが明らかになりました。
3. コインランドリーやクリーニング店の対応
影響を受けている地域のコインランドリーやクリーニング店は通常どおり営業しています。
一部のコインランドリーでは料金を半額にする動きがあるとの情報もありましたが、本日の調査ではその実態を確認することはできませんでした。
また、今日伺ったコインランドリーの中には「ここは浄化槽で、下水道に流していないから大丈夫」と、不満そうに答える店舗の方もおり、洗濯の自粛要請に対するプレッシャーを感じている様子がうかがえました。
こうした状況から、一部の住民や店舗が「洗濯自粛要請」に対して責められていると感じている可能性があります。
4. 行政や各種団体の動き
現在、行政や組合等からは、具体的な洗濯支援策は発表されていません。
DSATでは後方支援を表明していますが、現地周辺のクリーニング店では支援の必要性を感じていないという反応のため、支援を実施するお店はありません。
洗濯以外の支援は、近隣の足立区や葛飾区などでは、下水道使用制限対象地域の住民を対象にした、銭湯の無料入浴支援が行われており、日に数名の利用があることが確認されました。
ただし、これは緊急対応というよりも住民の利便性を考慮した支援策の一環と考えられます。

5. 住民の要望と課題
ほとんどの住民は洗濯に関する問題を深刻には捉えていませんが、一部の住民(特にコインランドリーを利用している人)は、利用回数の増加によるコスト負担を懸念しています。
また、洗濯そのものに問題がないことを理解しつつも、「周囲の目を気にして部屋干しをしている」という心理的な影響を受けている人がいることが特徴的です。
「市はそういう支援(洗濯支援)を積極的にしてくれません。」と、市民の方からの声があったことを踏まえると、日常の生活に不要なストレスが生まれていることがわかります。
6. 考察と今後の対応
DSATの今後の支援について
現時点では、洗濯で具体的に洗えなくて困っている住民は確認されておらず、周辺のクリーニング店も支援の必要性を感じておらず支援に手をあげるお店がないことから、DSATとして具体的な支援活動を行う状況にはありません。
ただし、域外のコインランドリーなどを利用して制限に協力する方などで、洗濯に負担を感じている方がいらっしゃれば、DSATまでご相談いただければ対応をしたいと思います。
住民の心理的負担と支援の必要性
今回の調査では、「洗濯すべきかどうか」「どの程度なら許容されるのか」といった判断に悩み、心理的な負担を感じている住民がいることが分かりました。
そのため、行政は洗濯の制限について、もう少し具体的に示す必要があると考えます。
また、組合等は支援を実施しないにしても、現地調査に基づいた説明を行い、「なぜ支援が不要なのか」を明確に発信することが求められます。
現場の状況を知らない人は、ニュースの情報だけを頼りに判断するため、説明がなければ「どれだけの制限をすればいいのか」「なぜ支援をしないのか」と疑問や不満を持つ可能性があります。
報道の影響と情報の乖離
報道の影響は大きく、実際の状況とは乖離が見られます。
例えば、一部の報道では「洗えなくて大変」との情報が発信されていますが、今回の調査で、洗濯については報道されているほど深刻な状況ではないことが確認されました。
また、物理的に洗えないというよりも、「洗濯警察」のような圧力が発生している可能性もあり、住民に不要な心理的負担を与えていることが懸念されます。
報道機関には、実態に即した正確な情報発信が求められます。